ご挨拶 

       

俳句の玉手箱

 「俳句三昧」を開発したシステム工房は、パソコン用データベースのマネー
ジメントシステムを幅広く手がけるプロ集団である。
 この情報処理のプロ集団が、パソコンに不慣れな人でも簡単に操作できるよ
う、俳句のためのソフトウェアを開発した。
 開発の過程では、多くの俳人や研究者の意見を取り入れ、豊富な資料を収録、
また使い勝手のよい検索・記録・編集・印刷・参照等の機能を満載している。
 当初、自筆の句作ノートや俳句帳の整理等、句作の記録の電子化をめざして
スタートしたのであるが、実のところ、この「俳句三昧」の用途はそれのみに
止まらない。句会に持ち込めば、清記は即座に完了するし、雑誌の編集もお手
の物である。近い将来、句会の運営の仕方やその記録、句集や俳句雑誌の編集
作業等にきっと劇的な変化をもたらすことであろう。
 もちろんこのソフトは創作のために役立つだけではなく、研究のためにも裨
益するところ甚だ大である。さらにはコラムニストのメモ帳、社長の朝礼のた
めのネタ帳、気のきいた時候挨拶の百科全書等、その用途は工夫次第で無限に
広がる。私は自分好みの句だけを抽出して、「自分ひとりのためのアンソロジー
(詞華集)」を編集、ひそかに楽しんでいる。その意味でこのソフトは「俳句の
玉手箱」であり、知恵と情報の宝庫であるといえよう。
 同好の人びとに広く活用してもらえるよう切に願う次第である。

元神戸大学名誉教授   .